さて、今回はGS2の芸術キャラであるクリストファー・ウェザーフィールドくん(以下、クリス君)の考察をしていきます。
彼は優しくて、ほんわかしていて、使う言葉に柔らかさと可愛らしさがあって、癒されますよね。しかし、クリス君自身を攻略していると、彼からどこか”焦り”のようなものを感じます。今回はその焦りはどこから来ているのか、そして、彼の最大のテーマである「自由」について私が考えたことを書こうと思います。
1.クリス君の境遇について
クリス君を語る上で、クリス君の置かれている境遇について最低限知っておいた方がいいと思うので、簡単に触れておきます。
クリス君は高校を卒業したら父親の仕事を継ぐと決意しています。そして、仕事を継ぐために高校生活の合間に仕事もこなしています。本編では仕事関連のイベントが3つあって、主人公が一日秘書としてクリス君の仕事に同行する場面もあります。
「高校を卒業して本格的に仕事をし始めたら、きっとやりたいことが自由にできなくなる」という思いが彼にはあって、それが彼の活動の原動力の一つになっているような気がします。すでに決まった道があるからこそ、時間の制限を強く意識してしまうんですよね。高校生活3年間が彼にとっての自由な時間なのです。
彼がいろんなことにチャレンジし、時に周りから見ると破天荒なことも平然とやってのけるのも、学生の間にしか味わえない”自由”を満喫するためだったのかもしれません。このことを踏まえると、二宮金次郎や靴箱をカラフルにしたり、女の子の誘いを断ってまで水墨画にチャレンジしたりするのもなんだか納得できますよね。
高校生にしてすでに明確な進路が定まっている彼ですが、親の仕事を継ぐことに対しては納得しているようです。「仕事は嫌やない」と言ってますし、親も職場の人もいい人たちに恵まれているみたいです。ただ、彼の頭の中では、仕事と自由がどうしても結びつかないようで、そのことに葛藤しているわけです。自由ではなくなるから、今のうちにやれることはすべてやっておきたい……。その気持ちは行動するための原動力にもなるのですが、時に時間に追われているような焦燥感も伴います。楽しそうに、そして自由に生きているように見える彼に時々焦りが見えるのは、自由を満喫したいと思っているのに同時に時間に縛られている感覚もあるからなんだと思います。やりたいことをやっているはずなのに自由になれている感じがしない、これが彼の悩みなのでしょう。
2.時間を大切にすること、意味をもたせること
クリス君を攻略していて一番に思ったのは、「とても時間を大切にしている人だな」ということです。はばたき城での「クリス御前」イベント、修学旅行での「竹林」イベントでは、歴史の話(おそらく義経と源氏物語)をした後に、主人公に記念撮影しようと提案してきます。思い出を写真におさめるという行為も、「今」という時間を大切にしたいという気持ちが強いからだと思います。3年目のクリスマス(スキー)では、「心のクリスアルバムにまたステキな思い出が追加や」と言ってますね(かわいい)。
また、彼はネガティブな話をした後にいつも主人公に「こんな話をしてしまってごめんな」と謝ります。好きな人とのせっかくの二人きりの時間なのに、ネガティブな話に時間を使うことに罪悪感があるから謝ってしまうのでしょう。(好きな人のネガティブな話はむしろ聞きたいものなんですけどね。この件に関しては星野源さんの『くせのうた』を聴いてもらいたい。)
このあたりでちょっとお気づきかもしれません。彼にとっての「時間を大切にする」ということは「いろんなことをする(チャレンジ/思い出作り)」「意味ある時間を過ごす」ということなのです。彼がいつも溌溂としていて、ポジティブな言葉・綺麗な(かわいい)言葉を発したり、人にやさしくしたりするのは、ネガティブなことに時間を割くことへの罪悪感みたいなものもあるからなのだと思います。もちろん、彼自身がすごく美しく優しい感性を持っているというのもあります。
仕事イベントの一つである「1人で反省会」では、仕事で失敗したことを反省するクリス君が描かれています。仕事でやらかして、社員さんの今までの努力が水の泡になりそうだったのに、父親からは叱られることはなく、むしろ「ええ勉強になったなー」と笑われるクリス君。自分のミスで他の人の努力(貴重な時間)を無駄にしてしまう恐れがあったのにも関わらず、それを重いこととは捉えられず笑い飛ばされてしまったことに、他の社員さんに対する罪悪感が増幅してしまったようです。「時間を大切にすること=意味を持たせること」と思っているからこその落ち込みだと思います。
このイベントを見て、社会人になって数年くらいはこんな風に思っていたなぁ、と昔の自分を思い出しました。失敗するのが怖くて、他の人に迷惑をかけたり時間を奪ったりすることが申し訳なくて、やろうと思っていても動けなくなってしまうことも多々ありました。でも、失敗というのはつきものなんですよね。どれだけ周到に用意をしても失敗するときは失敗する。その時に、次うまくいくようにするにはどうするかを学び取ったり、責任を個人に押し付けずに、個々人の努力を認め、皆で責任を引き受けるような温かい空気を作り、次の仕事への活力に繋げていくことが大事なのだと、今は思っています。これこそが、組織で動いていくことの醍醐味ではないでしょうか。クリス君の父親が彼の失敗を笑い飛ばしたのは、そういうことを学んで欲しかったからなのだと思います。イベントの最後に、クリス君が父親としっかり話してみると言っていたので、きっとお父さんから失敗を笑い飛ばした真意を聞けたのではないでしょうか。(こんな風にちゃんと父親に自分の気持ちを伝えるあたりもクリス君の誠実さが伝わってきて大好きです)
3.「サクラ舞う」イベントを読み解く
クリス君の最難関イベント「サクラ舞う」(告白未遂イベントを見てからのお花見デート)から、もう少し「意味を持たせること」について考えていこうと思います。
このイベントではクリス君がある短歌を口にします。
『世の中に 耐えて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし』
現代語訳はこんな感じです。
『この世の中に、全く桜というものがなかったなら、春を過ごす人の心はどんなにのどかであることでしょう』
この歌から、桜を否定的に捉えることもできるのですが、どちらかというと桜は人の心をこれほどまでに動かすほど素晴らしいものだと称えている、という意味で捉えるべきかなと思います。
この短歌を詠んだ後に、クリス君はこう続けます。
『意味があるんかないんか、分かるまでに時間がかかりそうや』
と。ここで「意味」という言葉が出てきます。ここから彼が「意味のあること」にこだわっていることが伺えるのではないかと思います。
将来が決まってしまっているクリス君にとってこの短歌は、自分に将来とか目標とかなければもっと自由に生きられていたのかな、と考えさせるものだったのではないかと思います。こんな風に自分の将来が決まっていることに意味はあったのか、そして自分が3年間自由を求めてがむしゃらに挑戦していることには意味があるのか……と。意味に囚われてしまうと、しんどくなってしまいます。後から意味のないことをしていたと分かったら、時間を無駄にしてしまったと罪悪感を抱いてしまいますしね。
「意味があるんかないんか、分かるまでに時間がかかりそう」
意味というのはそういうものなんじゃないかと私は考えています。
意味というものはその瞬間に現れるときもあるし、ある程度の時間がたってから意味を持ち始めることもあります。場合によっては、時間の経過によって意味が変化していくことだってあります。
そう考えると、あらゆることに意味を持たせようと行動するのはとても難しいことですし、そもそも意味が出現するタイミングや意味の変化の仕方は今後の私の生き方によって変わってくるので、無理に意味を持たせる必要なんてないように思います。意味があるかどうかわからないけど、今この時間に意味があったらいいな、今の時間をこの先「いいものだったな」と振り返れたらいいな、という気持ちでいたほうがいいんじゃないかと思います。そうすることで、今とこれからの行動・人生をもっと大切にできるようになるのではないでしょうか。
クリスマスイベントで、クリス君の親が言った言葉が、まさに今私が書いたこととつながってきます。
『将来の進むべき道だけを見て、いま、歩いてる道に咲いているキレイな花を見ないのはアホのすることやで』
未来のことばかり考えて、今ある幸せを見逃すことの愚かさを見事に表現しているセリフですよね。先を見据えることって大事なのかもしれませんが、今を大切に生きること、今ある幸せをちゃんと受け取りながら生きていくことの方が大事だと私は思っています。このセリフは心に刻んでおきたいですね。
告白EDで
「キミと会うて帰った日は……楽しかったんもモチロンやけど、ゆっくり……のんびりできてん。すごく久しぶりに」
とクリス君が言ってくれるのですが、これって「いま歩いている道に咲いているキレイな花=主人公」ってことですよね。主人公の存在が、主人公と一緒にいる時間が、彼に本当の自由を与えていたということだと解釈しています。
『特大キャンパス』イベントでは、商店街のシャッターにピンクのバラの花をクリス君が描くのですが、その花言葉が「あったかい心、満足」なんですよね。あのイベントでクリス君が描いた絵は主人公への感謝の気持ちと、この大切な時間を忘れないでという思いが込められていることが分かります。スチル自体は地味なのですが、すごくいいイベントなのでぜひ皆さんにも見ていただきたいです。主人公と一緒にいるときは、時間から解放されていたんだろうな。
3年間という限られた時間を意識して時間を大切にしてきたつもりが、かえって時間に縛られて本当の自由を見失わせていました。主人公の存在がそれに気づかせてくれたと思うと、人を好きになるってことはこんなにも素敵なことなんだなと感動してしまいます。
4.まとめ 自由について
自由って難しいですね。
「自由=他からの制限を受けず、いろんな選択肢があること」ということだと思うのですが、実際本当の自由を手に入れるのはなかなか難しい。クリス君のように、自由を求めすぎるがあまりに”自由”に支配(制限)されることもあるのです。
自由になるための条件って色々あるとは思うのですが、その中でも「好きなことを大切にする」というのは誰にでも当てはまるのではないでしょうか。恋愛もそうです。
結婚したら自由がなくなるなんて言う人もいますが、個人的にはそんなことないと思っています。もちろん、お金の使い方とか時間の使い方にはある程度制限が出てくるとは思うのですが、本当に好きな人と一緒に居れるということは精神的な自由をもたらすと考えています。結婚を息苦しく感じてしまう人は、お金や時間の自由に囚われることで、今ある幸せを見逃しているだけなのかもしれません。また、いろんな人と恋愛すること(浮気)が自由だとも思いません。心の底から愛する人と一緒に生きることは、一見世界を閉じているようにも思えるのですが、好きな人と向き合って信頼を重ねていくという経験は結果的に世界を広げていくことに繋がっていくと考えています。”閉じる”ことでかえって”開かれる”こともあるんですよね。”一芸を極める”というのも、閉じながら開いていくことの一つの形だと思います。
自由のイメージにとらわれてしまって、自由を見失っている人は多いと思います。色々しているのに自由になれている気がしない、なんか息苦しい……そんな風に感じている人は「自由」という言葉の意味を捉えなおすところから始めてみるといいかもしれません。(偉そうなこと言ってますが、自分もよく自由に囚われて苦しんでいます笑)
クリス君は仕事をしているということもあって、社会人になってから攻略すると色々と刺さるものがありますね笑
働くということや、自由について考えさせられます。
色々言葉足らずで分かりにくい部分もあったかと思いますが、今回の考察はこの辺でおしまいにします。質問があれば遠慮なくどうぞ。
最後に、かわいいクリス語録の中で気に入ったものを一つ。おみくじの「小吉」を「こきち」と読むのは有名だと思うので、別のもので……。
私のクリス語録の推しは「ジョイジョイ!」です。
テストで上位(2位~50位くらい?450点以上)をとると、これが聞けます。
ジョイというのは「上位」のことなんですが、なんだか「JOYJOY」と言われているみたいで楽しい気持ちになりますよね笑
それでは、また次回の考察でお会いしましょう!